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■夢を見て、また目を閉じる■

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 窓の無い部屋。私は、ベッドにつながれている。上体を起こすこともままならない。

 何故こうなったのかは知らないし、いつからこうなっているのかもわからない。ただ、誰かの罪を被った。それだけは覚えている。
 それだけ覚えていれば、何故、いつから、の疑問には容易に答えることが出来る。だから大して気にしてはいない。
 ただし、その誰か、も。どんな罪か、もわからないから怒れない。だから、私はただ、ここで空を見上げ続ける。

 っ

「ここからだしてくれ!」
 叫んだつもりだが、自分の耳には届かなかった。扉の向こうから、
「どうかしたのか」
 声は届かないが、そう言っているのがわかった。私はもう一度口を開く。
「ここからだせ!」
 今度も、自分の耳には届かなかった。扉の外は、誰もいなかったかのようにシンと静まり返った。

 はやくはやくはやく。

 見えた空は、朝焼けの空。

 酷く美しい、空が広がっていた。神が姿を現す前に、どうかどうか、静けさに満ちた東の空を見せてくれ。

 赤 青 黄 灰 紫 朱

 様々な色が混じり合った、しかし、ここの色を崩してはいないあの酷く美しい空を、私の目に焼き付けてくれ。

 必死になって身を起こす。そして窓に駆け寄った。

「ああ」
 その光景は、既に神が現れた後だった。酷く美しい視界は一瞬にして消え、暴力的な輝きに世界は支配された。




071209
memoより発掘

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